─ あ と が き ─
巻の五、最後までお読み頂きありがとうございました。
以下、巻の一~五のネタバレ等を含みます。
まずは、主人公について。
タイトルに「緑」がついてる時点でお察しだと思いますが、シュネは、四色の龍のうち「
「癒し」と「呼ぶ」力が強いのは、ジルの血が強く出ているため。
次に、一人称「僕」で書いた理由を。
純粋に、一人称で書いてみたかったってこともあるんですが。
一番はやっぱり、シュネが女の子ってことを隠すためです。
最初に話を考えたときには、主人公は何となく養父とそりが合わなくて、半ば遠足気分で自分探しの旅に出る、もっと呑気な女の子でした。
でも、これじゃ旅立つ際の動機付けが弱いかなと思い、ネスター先生に悪者になってもらい、否応なく旅に出る羽目になるよう、設定を変えました。
それから、シュネの本名について。
ベリル(beryl)は、女性名であると同時に、鉱物の名でもあります。
英語の辞書で見つけて、本名の方が先に決まりました。
この鉱物(宝石のベリル)には、色によってたくさんの変種があります。
淡緑色はグリーンベリル、無色はゴシェナイト。
黄色を基調とするゴールデンベリル(へリオドールとも)。
強い青色はマシシ、ピンクはモルガナイト、赤はレッドベリル。
淡青色はアクアマリン。
……では、濃い緑色のベリルは?
そう、エメラルドです。
アクアマリンとエメラルドは色が違うだけで、同じ鉱物なんですよ。
英語の辞書でberylと引くと、「緑柱石」と出てきます。
そして、苗字。
「パッサート」はイタリア語で「過去」。
つまりシュネのフルネーム「ベリル・パッサート」は「ベリルの過去」。
「緑柱石の過去」→タイトルの「緑柱石の記憶」ってことになるわけです。
「シュネ」は、ドイツ語の「雪」。
女の子かどうか分かりにくい名前にしようと、つけてみました。
最初は、「ヴィアラ」を名前にしてたんですけどね。
ついでに言えば、私自身も七歳以前の記憶がありません。
中学生の頃、母と昔のアルバムを見ていて、「これ、覚えてる?」と聞かれて初めて、小2以前のことを、何一つ覚えていないことに気づいたんですよ。
そのときは、別にどうとも思わなかったんですが。
あるマンガを読んだとき、「僕は五歳以前の記憶がまったくないんだ!」というセリフがあって。
……え? そんなに驚くこと? って、色んな人に聞いてみたら。
母はもちろん、webでも、大概の人は三歳くらい、中には二歳のことも覚えてる人がいたりして、ちょっとびっくり。
で、それを元に、この話を書いてみたわけですが。
あと、「みにくいアヒルの子」もちょっと入ってるかな(笑)。